concept

私は作品で小さな四角形(ピクセル)を用いた表現を行います。ピクセルはコンピュータで映像を表す上での最小単位です。

版を彫る前にこのピクセルの配置で画面を構成し原画をつくりますが、この配置はあらかじめ決めたルールに沿って配置します。ピクセルというモチーフは非常にシンプルで、多くの人が真似できるものだと思います。自分の作品に込めることができる一番の作家性はどこにあるのかと考えたとき、私は版を彫る技術や摺りの結果ではなく、作品をつくるプロセスそのものを用意することだと考えました。。極端に言えば、版を彫ったり摺ったりすること自体、自分でしなくてもいいのかもしれません。直接作品づくりに関わっていなくても、用意したルールやシステムに沿えば自分の作品が完成する、それが目標としている方向性の一つです。試みとして、版の原画をルールに沿って作成できるようにプログラムしてアプリをつくり、そのアプリが作成した原画を元にレーザー加工器を使って版を彫刻するという、版作りのプロセスから自身の直接的な介入を可能な限り減らした作品づくりもおこなっています。

また、木版画の特性の一つに、複製性があります。版画はprintと訳せる通り、印刷物です。版を使うことで作品を複製できます。私はこの版の特性を同じものを増やすということではなく、作品を広げていくという使い方で、インスタレーションに活用しています。

同じ版を位置をずらしながら繰り返し摺り続けることで、小さな版で展示空間を覆う大きな作品を作るという扱い方です。

展示に空間をモチーフに小さな版づくりをし、それを改めて空間に広げていくというインスタレーションです。版画はもともとつくりあげたい画を分解して版にした後、再び版同士を組み合わせて再構成するものです。分解し、再構成するということを空間に対して行うのが私のインスタレーションです 。


frigile story statement

The common feature of my works is that they are woodcuts carved from square pieces of wood. I don’t carve a concrete image. I make work with the combination of square pixels and colors. I resolve and think of a subject first and I change the subject every work. It could be a landscape, an event, anything. The information the subject has and the information I have are changed into the point of view of the squares and colors, which I then make it into a woodcut. When the woodcut comes together on the paper, it’s represented by the reorganization of the subject. I think it’s difficult to draw what I want to represent specifically. That’s because it may be a fragile thing like a miracle only in a moment. The subjects of my work are born from the combination of various pieces of information that things and locations have. I’m aiming not to copy a subject, like a photo, but to compose it.

私の制作する木版画の共通点は、ピクセル状に(あるいはモザイクのように)彫った木版を用いた表現です。具体的なイメージを掘り起こすことはせず、正方形のピクセルの組み合わせと、色彩によって作品をつくっています。題材となるものはその作品ごと様々ですが、風景であれ事象であれ、私はまずそのものを分解して捉えようとします。そのものが持つ情報と私が感じた情報を、単純なピクセルの配置と座標、色彩にそれぞれ変換し版として、また版が組み合ったときにそのものを再構成します。
表したいことをそのまま画として表すことは難しいです。フラジャイルという企画のキーワードに沿って言うのであれば、私が表現したいとそのとき感じたものは、その場やものが持つ様々な情報要素の奇跡的なかみ合わせのなかで生まれた、とても脆いものかもしれません。私が目指す表現は、表現したいものを映して表すのではなく、表現したいものと同じ情報を用いて、新しく構成し表すことです。